26歳で中古マンションをリノベーションした話<設計編>
家を買うことになったきっかけの話と、リノベーションに向けて物件を購入するまでの話の続きです。
物件の購入が完了し、設計に入っていきます。
※僕は物件探しからリノベーション会社さんに入ってもらいましたが、この段階からリノベーション会社や建築事務所の設計士さんに依頼するタイミングになる方もいるかもしれません。
リノベーションする物件の概要
前回まで物件探しのポイントについて書いてきましたが、
実際に購入した物件は以下のような物件でした。
54㎡
2人暮らしであることから、十分な広さでした。
今後家族が増えるなどライフスタイルが変わったときには柔軟に売る・貸すことを視野にいれても、1人暮らし・2人暮らしに対応できるちょうど良い広さであったと思います。
物件探しをしていた当初は「家族が増えたら・・・」「荷物が増えたら・・・」と「もしも」の話ばかりしていて、「最低でも70㎡はないとつらい」と考えていました。
ただ、設計の話にも関わりますが、「もしも」と「念のため」の話をしていても夢と比例してコストと購入難易度が膨らむばかりで先に進めません。
そういう意味でも、狭すぎず、十分な広さの物件に出会えたと思います。
築40年超
これは完全に想定外でした。内見にいくときも「さすがに40年超えは、、、」と二の足を踏んでいました。
ただ、管理状態が非常に良いことで40年以上経っているとは思えないほどキレイであること、またコストもその分おさえられることで築年数については許容することができました。
築年数や旧耐震・新耐震基準などのスペック的な部分ももちろん重要ですが、管理状態にも目を向けてみると良いと思います。
具体的には以下が好ポイントでした。
・長期修繕計画がきちんとある
・外観の塗装などがキレイ
・廊下塗装やすべり止め加工などがされている
・玄関ドアが後付けでオートロックになっている
・郵便受けが交換されてキレイになっている
・エントランスの観葉植物や貼り紙が整頓されている
・ごみ置き場が整理整頓されている
・エレベーターですれ違う住民が挨拶してくれる
上記から、管理会社がしっかり仕事しているかどうか、だけでなく管理会社に委託する理事会が機能しているかどうか、ひいては住民の方がマンションに今後も住み続けることをしっかり考えられている方々なのかどうかがわかります。住みはじめてみてからも、最初に感じた印象と相違なく、管理の良い物件だと感じています。
最上階
景色・日当たり・風通し最強
高層の物件を探していたわけではないのですが、結果的にメリットでした。
古い物件にありがちなのですが、都市計画法で高さ制限を受ける前に建築された建物のため、まわりに比べて高さがあり、これから視界を遮る高さの建物が建つ心配もありません。
そのため、夏は窓をあけておけば風が良く通り、冬は日差しが暖かく昼間は暖房なしでもいられるほど。
地下鉄2路線、JR線が徒歩5~7分ほど
新宿まで徒歩圏内
アクセスのことを考えて物件選びをした甲斐があり、車なしで十分すぎるほど利便性があります。
新宿まで歩くとさすがに20分ほどかかるのですが、タクシーですぐの距離ですし、散歩がてらよく歩いてご飯を食べに行ったり、映画を見に行ったりします。
設計に向けた打ち合わせ
さて、そんな物件を設計士さんと現地調査をして、いざ設計の打ち合わせになります。
ただ、「じゃあ間取りは1LDK?2LDK?」みたいな話にはなりません。
何回も、何時間も時間をかけて以下のような話を設計士さんとすり合わせていくことになります。
いまどんな暮らしをしているか
まずは今の話。どうして住み始めたのか、何か不満があるのか、といった物件自体の話や、普段仕事は朝が早いのか?夜遅いのか?仕事から帰ってきたら何をするか、休日は出かけることが多いのか、外食するのか料理するのか、といった話など。
もちろん趣味の話もします。家のテイストやこだわりなども関連してくるので、僕たちは打ち合わせのときにPinterestやGoogle Photoなどを使って好みのインテリアを設計士さんに見てもらったり、持っているものや欲しいものをSumallyなどで共有しながら進めました。
これからどんな暮らしをしたいか
そして、リノベーションをして実現したい暮らしについても話します。
僕たちは
・食洗機やロボット掃除機、乾燥機付洗濯機などテクノロジーをうまく使って家事の負担を減らしたい
・家事導線や高さ、レイアウトなどを工夫して家事の時間を楽に効率的にしたい
・趣味のスペースを作りたい
・素材は天然のものを使い、メンテナンスしながら経年変化を楽しめる家にしたい
といったことをベースに設計士さんにイメージを伝えました。
ここで「何を実現したいのか」がすごく重要になってきます。後々設備などを考えるときにやっぱり出てくるのが「念のため」「せっかくなら」といった気持ち。
優先度をつけて取捨選択していく中でこの軸からブレず、立ち戻る場所をしっかり作っておくことが振り返ってみても一番のポイントかな、と思います。
設計
上記の打ち合わせをもとに、設計士さんが数パターンの案を出してくれ、意見をすり合わせ、、、の繰り返しで進んでいきます。
ここで事前に話していたけどできないこともたくさん出てきます。このときに「予算の問題でできないのか」「構造の問題でできないのか」のどちらかなのか(もしくは別の課題があるのか)をしっかりと話し合い、意識をすり合わせることが大事だと思います。
例えば僕たちの場合
・LDKを広くとりたい
・趣味のスペース(土間)を広くとりたい
・家事導線をスムーズにとりたい
・キッチンはオープン(アイランド)にしたい
といった要望を限りあるスペースで両立させるためにそれぞれどんな形でどのくらいの比率になるかをシビアに調整しました。
予算調整
要するに予算との戦いです。
・大枠の間取りと配置を2次元で決める
・キッチン・家具類など3次元で決める
上記が終わるあたりからやってきます。
どうしても譲れなかったもの
部屋の大部分を占める床材を無垢材にしたいという思いがありました。
質感・肌触りは人工フローリングでは出せないし、暮らしていくうちに色が変化していく経年変化も魅力でした。
ただ、狭い部屋とはいえ面積が大きく、そして無垢材は高価。
床材のショールームで種類やグレード、幅などを吟味してオーク材(ナラ)を選びました。
塗装は天然木の質感を残すため蜜蝋ワックスに。
後述しますが、自分たちで床に塗装しました。
代替案が気に入ったもの
- 天井・・・最上階のため天井の躯体に断熱材があったけど、高さを出すために天井を開けたかった。断熱材を見せつつ、塗装することでカバー
- キッチンの仕上げ・・・天板をステンレスにしようと考えていたものの、コストを考えてキッチンパネルを天板として利用。全体の色馴染みも良く、ヴィンテージのアアルトのような雰囲気になった。
- 壁の仕上げ・・・アクセントウォールで木材や特殊な塗料(ポーターズペイントなど)を考えていたけど、シンプルにクレイペイント(土の入った塗料)の単色に。
- 扉の再利用・・・寝室の扉は既存再利用
その他コスト削減のために実施したこと
など。
なぜそれが必要なのか、本当に無いと困るのか、他のことや今後の資金繰りのことを考えてもコストを割く必要があるのか、、、と本当に考えさせられました。
ばーっとまとめて羅列してしまいましたが、それぞれ1つ決めるのにも眠れないほど悩み抜いた上で決めたことなので、これから別途エントリで書いてみたいと思います。
まとめ
何度も繰り返しているのでわかるように、結局「何のためにリノベーションをして、どう過ごすのか」という軸をブラさずにすることが肝要で、そしてそれがすごく難しかったです。
自分たちの暮らしを見つめ、将来を考え、話し合うということを、リノベーションを通じて行うことができたと思っています。
そういう意味では、色々な人にリノベーションはおすすめしたいな、と思います。
※DIYは死ぬほどつらかったので、よほどのことがない限りおすすめしません、、、笑